遺産分割

遺産分割について

遺産共有状態とは、相続財産が各相続人に一時的に帰属している状態を指します。この状態では、土地や建物の使用・処分に不便が生じるため、どの財産が誰に帰属するかを確定し、遺産共有関係を解消する必要があります。この一連の手続きが「遺産分割」です。
遺産分割は、まず相続人全員での話し合い(協議分割)から始めます。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て(調停分割)、それでも合意に至らない場合は、家庭裁判所が分割方法を決定する「審判分割」へ移行します。協議分割や調停分割では、相続人全員の合意があれば、法定相続分と異なる分割も可能です。

遺産の確定

遺産分割の第一歩は、被相続人の全財産を正確に把握することです。

  • 不動産:登記簿謄本や固定資産税納付書などで所有不動産を確認します。
  • 動産:貴金属、美術品などの高価品は、写真などで記録し、価値を特定します。貸金庫内の財産も確認対象です。
  • 預貯金:通帳や取引履歴で残高を確認し、不明な場合は金融機関に照会します。
  • 株式・投資信託:証券会社の報告書や配当通知書から把握します。
  • 知的財産権:特許情報プラットフォームなどで確認します。
  • 賃料:相続開始後の賃料収入は原則遺産分割の対象外ですが、同意があれば含めることも可能です。

負債調査・相続放棄の検討

相続財産に借金などの負債が含まれる場合、相続放棄を検討する必要があります。被相続人の死亡を知った日から原則3か月以内に手続きが必要です。金融機関からの借入だけでなく、消費者金融や個人間の借入の有無も慎重に調査し、不明な点があれば弁護士に相談することが重要です。

相続人の確定

遺産分割は、相続人全員で行う必要があります。戸籍謄本などを用いて、被相続人の出生から死亡までの関係者を調べ、全ての法定相続人を確定させます。相続放棄をした者や相続欠格者、被排除者がいないかも確認します。

遺言書の有無の調査

遺言書は法定相続分を修正するため、遺産分割前に必ずその有無を確認します。自宅内だけでなく、弁護士や金融機関に預けている可能性も考慮します。
遺言書の調査としては、まず公正証書遺言の場合、全国の公証役場で検索が可能です。また、2020年7月10日から始まった自筆証書遺言保管制度により、法務局に保管されている可能性もあり、相続人は法務局に照会することで遺言書の有無や内容を確認できます。

遺産分割協議

遺言書がない場合、または遺言書で分割方法が指定されていない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。
遺産分割協議は、法律上の期限なくいつでも行うことができます。協議の際には、相続人全員が一堂に会する必要はなく、電話やメール、手紙などを用いた持ち回りでも合意形成が可能です。また、合意内容を明確にし、後々の紛争を防ぐためにも、必ず書面で遺産分割協議書を作成することが重要です。

遺産分割方法の決定

分割方法には主に3種類あります。

  1. 現物分割: 遺産をそのままの形で分ける方法です。
  2. 代償分割: 特定の相続人が遺産を多く取得し、その代償として他の相続人に金銭などを支払う方法です。
  3. 換価分割: 遺産を売却し、その代金を相続人で分け合う方法です。

遺産分割調停

遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。調停は、裁判官と調停委員の立ち会いのもと、話し合いでの解決を目指します。合意できれば調停成立となり、調停調書が作成されます。合意に至らなければ、審判手続きへと移行します。

当事務所の特徴

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